業務用空気清浄機の成立
専門性の高い構造設計については、建築主または利用者が独自に判断することが難しい。
専門家といえどもミスがないとは断言できない。
基準法や告示などの解釈も、人によって異なることがある。
そのような意味で、確認審査制度は必要である。
しかし、審査をする人の能力が、設計者の能力よりも低い場合は、審査内容が適正とはいえない。
同レベル以上の専門家が、チェックする必要がある。
確認検査機関に実務経験のある構造の専門家を置くか、別の専門家にチェックしてもらうピアチェックが考えられる。
一級建築士が、意匠、構造、設備のすべての業務ができるというオールマイティーな資格にも問題がある。
戦後間もない頃の3〜4階建ての建物ならまだしも、最近は建物の規模も大きくなり、構造設計の技術の進歩も著しく、専門性がさらに進んでいる。
構造設計を専門にしている建築士のなかでも、免震・制振構造から木造に至るまですべてを熟知している人は少ない。
現行の建築士法では、一級建築士であれば、意匠、構造、設備すべての設計を行うことが可能である。
建築士法では、専門分野や専門建築士の存在をとくに示していない。
それにより、構造設計者は社会的に認知されず、意匠事務所の下請に甘んじ、法的・社会的責任も少なく、報酬も低い。
また、構造をよく理解していない設計者が、一貫計算プログラムを購入し、誤用している可能性もある。
そして、そのまちがった計算書を見抜く能力のない検査員が審査していることも考えられる。
したがって、一級建築士をオールマイティーな資格ではなく、実績と経験によって統括、意匠、構造、設備と分類し、社会的制度として明示させ情報公開することが重要である。
一般の人に、それぞれの専門者がいることを認知してもらうことで、社会的地位の確保と責任範囲が明確になる。
そして、この重要性を構造設計者自身が認識することが、偽装の防止にもつながる。
今回の偽装事件は、まず構造設計者を処罰し、その後に元請の意匠事務所の設計者を処罰しているが、これはまったく逆で、本来、元請である意匠設計の処罰が先で、構造設計者はその後になるべきである。
建築士法に実態を反映させることを求めるのは、このためだ。
現在、構造の専門的資格として、日本構造技術者協会が自主認定資格を定めて運営している建築構造士制度というものがある。
この資格制度には、経験や能力のほかに、取得後の継続教育、更新制、倫理規定や行動規範などが付随することを付け加えておきたい。
国家資格のほうがいいのか、それとも自主認定制度のほうがいいのか、迷うところではあるが、社会からの信頼さえ得られれば、どちらでもいいと考えている。
構造設計事務所がその業務に対して責任をとるためには、バックアップ体制としての保険制度が必要である。
構造設計事務所の責任を明確にした社会システムを構築し、保険制度を充実させることで、消費者にとっても責任の所在がわかりやすく、安心することができる。
また、保険会社が構造設計者と構造設計を審査することにもなるので、その建物の耐震グレードが明確になる。
審査は、保険会社から委託された別の構造設計者が行うピアチェック方式などが考えられる。
これは、設計者と建物の質を向上させる効果もある。
ただし、構造設計事務所が保険に入るためには、設計料のUPは仕方がないことである。
しっかりとした建物を建設するためには、施主の費用負担も当然必要となる。
ただし、保険とはいえ瑕疵担保制度であるから、不法行為を保証するものではない。
施工にも疑念がさらなる不信を呼んでいる。
構造計算書をチェックするだけではなく、実際の建物を現地調査する動きが出てきている。
計算書の偽装があったマンションの住民は「施工段階にも偽造があったのではないか」「手抜き工事をしたのではないか」と疑念を抱き、建物の現状と設計図の整合、施工状況、躯体の状態を確認し始めている。
今後、躯体の抜き取り検査など、より詳細な調査を行う計画もあると聞く。
現在、さまざまなマンションやホテルで構造計算書をチェックしているが、そのとおりに施工されていなければ、計算書や構造図を確認しても調査は不確かなものになってしまう。
構造計算書が問題ない建物でも、そのとおりに施工されていなければ、性能は確保されない。
書類上同じ性能の建物でも、構造体の施工の良し悪しで、でき上がる建物の耐震性能や耐久性能は大きく変わってしまう。
計算書や図面で高い耐震仕様となっていても、施工監理がいい加減では意味がない。
しっかりとした現場監理を行うことで、初めて高い耐震性能の建物ができ上がる。
現場監理は、構造計算と同等かそれ以上に重要なのである。
しかし現状は、構造の専門者でない人間が躯体の施工検査をしていることもある。
これでは、形式的に検査を行っているだけで、本当の検査にはならない。
現状の監理体制は、大きく分けて次のようになっている。
設計者が、その建物の重要な部分や注意しなければならない部分をもっともわかっている。
もつとも適切な監理を行うことが可能。
設計をした事務所とは別の事務所が監理したほうが、第三者的に監理できるのでいいという意見もある。
しかし、建物ごとに重要な部分は異なるため、実際に設計をした設計者がもっとも理解している。
この設計施工一貫体制は、不良建物をつくる可能性が高い。
まず、第三者のチェックが入らない。
社内でまじめに自主検査を行い、しっかりと施工している会社もあるが、会社の利益追求に重点を置いた体制になる可能性が高い。
専門外の人が監理するので、図面との照らし合わせだけになってしまう。
現場ではさまざまな問題が発生するが、対応が難しい。
設計事務所のなかには、設計だけを行い、現場監理を行わない事務所もある。
建築主が別の事務所などに監理を委託しない限り、施工は建設会社任せとなってしまう。
設計図どおりに施工されない場合もあり、もっとも悪い体制である。
前記、から、まで、さまざまな体制があるが、の設計した事務所と現場監理を行う事務所が同じ場合が、もっとも密度の高い監理が可能である。
そして、設計から現場監理まで一貫して同じ担当者で行うことが望ましい。
同じ事務所内で設計時の重要事項がうまく伝達されればよいが、うまく伝わらない場合は現場監理に支障が生じる。
その建物のことをいちばん理解しているのは、実際に設計した担当者である。
ただし、現場監理体制による建築主の費用負担は、次のようになる。
しっかりした監理まで行うには、建築主の費用負担が必要である。
確認検査機関により、施工時に「中間検査」という施工状況の検査が行われる。
これは、施工途中に一度検査が行われるだけである。
施工計画書、施工写真などの書類の確認や現場の配筋状況を検査するが、現場で行う検査の時間としては1〜2時間程度である。
これでは、とても十分な検査とはいえない。
やはり、専門家の監理者が、工事の工程ごとに検査を行うことがもっとも重要である。
また、工事を実際に行うのは「人」である。
会社ではなく、実際にそこで作業する担当者である。
「大手の建設会社だから安心」ということではない。
誰が現場監理し、誰が監督し、誰が作業したかが重要だ。
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